たかきろぐ

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自動運転 -2015年と2016年の違い-

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自分の知っている範囲で,自動運転に関する情報をまとめてみた.

自動運転.2015年は車両販売,2016年はサービス開始の年となるだろう.

切り口はさまざまだが,今回は,車体販売とサービス開始の観点から話をまとめてみる.

 2015年 - 車体販売 -

2015年 - 自動運転車両の販売(Tesla モデルS)

先日,Yahooニュースでこんな記事が掲載された.

headlines.yahoo.co.jp

これにはまったく同意で,2015年は自動運転の車体が初めて市販された年で,その最初の車がTeslaのモデルSである.ただし,厳密な意味でテスラのモデルSは自動運転の車両とはいえない

人によって「自動運転車両」に対するイメージは異なるかもしれない(もしかすると,ナイトライダーのナイト2000みたいなのを想像するかもしれない).実は日本では自動運転のレベルが以下のように定義されている

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SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)自動走行システム 研究開発計画書 3p より抜粋 http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/keikaku/6_jidousoukou.pdf )

モデルSはこの定義に沿えば条件付のレベル2である.モデルSは車線変更や,自動駐車を実現しているため,加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態である.しかしながら,いつ・どこでもこの状態にあるわけではない場所でいえば高速道路という制限がある.加えて,車線変更を行うという指示は人間が行う.究極的には,その判断も車両がすべきだろう.

 

とはいえ,自動運転機能を搭載した最初の市販車両であることは間違いない.2015年は自動運転車両が販売された年なのだ.

 

2015年 - 自動運転車両の販売(ZMP ロボカー)

また,市販車両とは別で,開発用の自動運転車両も販売されている.

www.zmp.co.jp

このシリーズの RoboCar® PHV/HV を利用すれば,CAN情報(車両の内部を流れる情報)を取得したり,車両側にステアリングや加減速の指示をおこなったりすることが可能になる.またセンサデバイスを取り替えて評価を行うなど,ハードウェアインループチックな評価環境を実現することも可能になる.

ちなみにZMPはワエが読んでいるブログのひとつにも記述されたことがあるよ.投資家の人も注目しているみたいやね.

自動運転の主役ベンチャー企業「ZMP」とは一体何者なのか - さようなら、憂鬱な木曜日

 

2015年 - アカデミック(名古屋大学

アカデミックな場でも自動運転に関する研究がさまざま行われている.先に紹介したZMPのロボカーシリーズは,実は名古屋大学が中心に開発したオープンソースのソフトウェアを搭載している.このソフトウェアはAutowareと呼ばれており,ソースコード・仕様書が公開されている.(Autoware - PDSL

このほかにも,長崎大学同志社大学金沢大学などが自動運転車両の開発に積極的なようである.(一口に自動運転といっても,車両内のローカルな制御,通信,ITS技術の応用などさまざまなので,担当部分は違うのだろうが)

いずれにせよ,自動運転の機能がオープンソースで提供される時代になったのだ.末恐ろしい.利用するしないにかかわらず,パイオニアの知見に触れることができるということは,エンジニアにとっての自動運転機能開発の敷居がぐっと下がるだろう

 

2016年 - サービスの開始 -

2016年 - 自動運転タクシー -

2015年にDeNAZMPが共同でロボットタクシーという合弁会社を設立した.この会社は自動運転車両を利用したタクシーを生業とする会社だ.2016年には神奈川県藤沢市で行動実証実験を実施する.ちなみに神奈川県は2014年に国家戦略特別区域として指定されていて,特別に実証実験が可能な土地になっている.去年の記事だけど,関連ニュースを張っておく.

car.watch.impress.co.jp

このロボタクシー社の面白いところは,「自動運転車両が引き起こした事故は全てロボタクシー社に責任がある」と言い切っているところだ.ちなみにこれは,ロボタクシー社の 中島 宏 社長が某イベントの会場でクロストークを行っている時に発言していた.当たり前のことだと感じる方もいるかもしれないが,これはかなり重要なことである.必ずといっていいほど自動運転車両を走らせる際に,責任問題が大きな課題として取り上げられているからだ.例えば以下のような議論.

gigazine.net

他にもさまざまなケースが考えられる.泥酔者が自動運転車両に乗っていて,その車が対人事故を起こした場合,泥酔者に救護義務はあるのか?などなど.この場合に泥酔者に救護義務があるならば,自動運転車両の中では常に救護が行える状態で備えていなければならない(といっても熟睡したり泥酔状態ではない,といったレベルだが).

 

また,このサービスは一般道で行われる.高速道路に比べて一般道路での走行は難易度が高い.加えて実現するレベルは先に紹介した定義でのレベル3を想定している.かなりチャレンジングな内容となっている.今後も動向を追っていきたい.

 

2016年 - 公共交通機関への自動運転車両導入 -

本年春にスイスのヴァレー州シオンにおいて,世界で始めて公共交通機関に自動運転車両が利用される.路線バスである.

www.huffingtonpost.jp

(記事内のカテゴリー5ってなんなんだろう...?)

 

「路線バス」というところがひとつの制約にはなるが,これは革新的である.どのような点で革新的であるかというと

  1. 「官」主導であること
  2. 一般道での自動運転であること
  3. 近隣地域の理解が必要であること
  4. 時間通りの運行(速度要件)を求められること

である.言い換えると

  1. 法律・条例の整備がなされている
  2. 自動運転の機能のレベルが高い(障害物の認識など)
  3. 自動運転に対する市民への啓蒙活動がなされている
  4. 自動運転の機能のレベルが高い(認識結果に基づく制御など) 

 ということになるだろうか.

しかし,上記でも挙げたように,「路線バス」ということが一種の制約となり,実現を容易にする面もある.例えば,

  1. タクシーと比較すると,バス停の位置が固定で停車・発進にもとめられる機能が簡易化される(タクシーの場合,乗りたい人の場所に依存する)
  2. 走行経路が一定であること(実は自動運転において走行経路が一定というのは問題をかなり簡単にする)
  3. 他車両から自動運転であるということが視認しやすいこと

などがあげられる.

 

いずれにせよ,公共交通機関の自動運転車両による実現というのは度肝を抜く内容であることには変わりないので今後も動向を王必要がある.

 

2015年と2016年の違いはこんな感じだろうか.また他の切り口での自動運転に関するまとめを書いていきたい.