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たかきろぐ

「自動運転」「情報系大学」「雑記」をだらだらと書いています

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自動運転と地図2(ダイナミックマップ)

まじめ まじめ-自動運転

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今回は高精度道路地図を使った,より高度な技術を説明するよ.これを説明し終えると,アイサンテクノロジー(正確には三菱電機が立ち上げたコンソーシアム)が受託したテーマ「ダイナミックマップ」の内容がある程度わかるようになる.

 前回の記事では高精度な道路地図が何者なのかを説明した.

kyu-kyoku.hatenablog.com

この高精度道路地図は,自動運転車両の経路設定に使われる他にも重要な役割があるよ.それが「動的情報」との結合だよ.これから説明するけど,高精度道路地図と動的情報を併せ持つものを「ダイナミックマップ」と呼ぶ.このダイナミックマップが今後のキーとなる.

動的情報とは?

ものすごく単純で,道路上の時間変化する情報のことを指す.例えば,GPS(正確にはGNSS)などから得られる位置情報 ,信号現示(燈色変化),交通規制,渋滞情報なんかが挙げられる.

ダイナミックマップとは?

こちらも単純で,動的情報を高精度道路地図上で管理,統合して利用しやすくしようというデータストアの名前である.この時点ではあまりピンとこないかもしれないが概念的には下図のようなデータになる.

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Implementation and Evaluation of Local Dynamic Map in Safety Driving Systemsより)

図中一番下にある層(Map)が高精度道路地図を表しており,その上に動的変化する情報が3層にわたって乗っているのがわかる.この4つの層は時間変化の短いものほど上の層で管理することを表している.最上位の層には歩行者や自動車の位置情報(時間粒度が1秒くらいorそれ以下)のものが想定される.

ちなみにこの図は,実は欧州の規格団体が考えたモデルで,Local Dynamic Map(LDM)と呼ばれている.ダイナミックマップに関しての研究開発は様々行われていて,微妙な性質や定義から名前が少し異なった形で世に出ている場合があるので注意.

なぜダイナミックマップのような形で情報を持っておくか

答えは,地図上の情報の取得先や取得方法をで統一するためである.例えば,道路上の規制情報は警察が管理している.車の位置情報などは,スマホのアプリから取得され,アプリの開発会社のサーバに溜まる.これらの情報は別々のサーバに蓄えられているため,情報の取得先と,APIがことなることが容易に想像できる.このような状況を引き起こさないために,情報を一元管理するのである.

ダイナミックマップがあると何がうれしいか

ダイナミックマップはあくまでデータストアなので,それ自体に意味はないのだが,例えば以下のようなアプリケーションを実現可能になる.(現状のGPSなどでは車両の位置精度が悪いため,実現不可能だが,それはまた別の問題なのでここでは突っ込まない)

自動運転車両の出会い頭衝突回避

見通しの悪い交差点における衝突を防ぐことができる.自動運転の車両はカメラやレーザセンサで周囲を確認しているが,遮蔽物がある場合,視認性が悪くなる.

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上図のような状態だと,車両A,Bは見通しの悪い交差点に差し掛かるたびに徐行しなければならない.センサのみによる自動走行は可能かもしれないが,路地などでは非常に効率の悪い運転をすることが予想される.

ここでダイナミックマップを利用すると事前に衝突回避の調停を行うことができる.

図にすると,以下のようになる.

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車線単位での渋滞情報生成

現在の渋滞の情報は,車線単位での管理はなされていない.イメージにすると以下のような感じである.

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 これを車線単位で管理すると,例えば,以下のようなイメージになる.

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このような情報が利用できると,車線単位で渋滞がわかっているので,経路の計算時にどこで曲がれば良いか,車線変更すればよいか,といったレベルで経路を算出することができるようになる.

 

で,アイサンとダイナミックマップの関係は?

実は内閣府主導でダイナミックマップを実際に作ってみる計画がある.この計画を三菱電機が主導するコンソーシアムが受託した.そのコンソーシアムのメンバーにアイサンテクノロジーが入っている.

自動走行システムの実現に向けた「ダイナミックマップ」構築の 試作・評価に係る調査検討を内閣府より受託

アイサンテクノロジーはまだコンソーシアムメンバーの中で比較的規模の小さな会社だったこともあり,株価が安かった.そのため投資家がこぞってこの株を求めて株価が高騰したのだ.

 

 

しかし,この1ヶ月間で株価が1/3くらい落ちてますね.怖い怖い.