自動運転に必要なのは評価環境 - 近づくデバイス,ロジックの開発の終焉 -
自動運転向けのセンサ類や制御アルゴリズム,ロジックが研究開発されている.しかし,自動運転技術を取り巻く環境は次のステージに移行してしまっていた.
それは,「評価環境」つまりシミュレータである.
自動運転と地図1(高精度な道路地図の重要性) - たかきろぐ
自動運転と地図に関して記事を書いているが(3は記載中),一旦それはお休み.
さて,先日こんなニュースが出た.
個人的に,これらのニュースに衝撃を覚えた.
自動運転は基本的にどの会社も実車走行によって試験を行い,センサの認識→環境理解→車両制御の一連の機能を確認している.
しかし,結論から言うが,実車走行だけでは自動運転を実用化するための十分な機能確認,評価はできない.
その理由は以下
- 評価のために十分な走行距離,走行シチュエーションが得られない
- 実車走行はコストが非常に高い
- 実車走行は事故などのリスクが高い
- 実車走行は行政の都合などで,実験場所を選ぶ
- 自動運転車両を社会に投入した時の交通流変化は知ることができない
ざっとこんなところだろうか?
つまりgoogleは
- 計算機を増やせばいくらでも評価が可能
- 評価コストをグッと下げられる
- 事故リスクも事前に減らすことができる
- (実験地の地図さえあれば)事実上世界中のどこでも実験可能
- 都市レベルなどマクロな視点での自動運転評価が可能
という特徴を持つことになる.
もちろん,現地の信号サイクルや,他車両の交通流データ(それを再現するドライバモデル)などがなければ世界中どこでも実験できるわけではない.新たにセンサデバイスを増設する際には,そのセンサの物理モデル及びシミュレーション空間内でセンサが感知する情報を生成する技術などが必要になるが,そんなもの後付けでいくらでも導入可能だろう.
記事内には評価距離などの記載はあるが,「どこの地図で」やったかは明記されていない.もしかすると完全に仮想的な道路ネットワークの中で走行確認しているだけかもしれない.
色々と課題を想定することはできるけれど,はっきりといって,日本の(国策,民間共に)自動運転開発のスピードを凌駕している.このようなシミュレータが登場するということは,明らかに量産をにらんだシステムを開発する体制ができているということだ.
自動運転車両を利用する側からしても,安心感が違うだろう.プログラムを少し帰るたびに,シミュレーションで地球何週分も走行試験させて且つ実車で試験したものと,実車のみで試験したもの.ワエなら前者を選ぶ.