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たかきろぐ

「自動運転」「情報系大学」「雑記」をだらだらと書いています

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「スーパー日本人」と「ハピネス社会」はそんなに取り上げて騒ぐほどのものではない

気になるテーマである.

近からず遠からずな話題が取り上げられていたのでちょっと話をしてみる.

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 「スーパー日本人」「ハピネス社会」といったキーワードが一人歩きしている感が否めないが,大阪大学COIが掲げた目標(とする社会)が話題になっている.

とりあえず以下のURLから阪大COIの資料を確認してほしい.

http://www.jst.go.jp/coi/sympo/data/v2_2.pdf

東大の茂木先生もこの話題に触れているが,大阪大学COIに関しての考えを記事にする.その前にそもそもCOIってなに?ってトコから始り,ちょっと調べてみたのでまとめる.

てかCOIってなに?

 COIってのは文部科学省が平成25年度から開始した革新的イノベーション創出プログラムである...といってもわけわからんよね.

平たく言うと文部科学省JSTという機関が国の次期産業をつくるためにイケてて実現可能性のあるテーマに対して出している予算である(ように見える).

我が国が、今後国際的な競争の中で生き残り、経済再生を果たしていくためには、革新的なイノベーションを連続的に生み出していくことが必要です。

〜中略〜

本プログラム(センターオブイノベーション(COI)プログラム)では、COI STREAMのビジョンに沿って、ハイリスクではあるが実用化の期待が大きい異分野融合・連携型の基盤的テーマに対し、集中的な支援を行い、産学が連携する研究開発チームを形成します。

 

産学官一体となって研究開発することが売りのようで,予算規模はテーマごとに1~10億円が割り当てられるみたいやね.あとで言及するけど,予算少なくないか?

概要-センターオブイノベーション(COI)プログラム

 

茂木さんは,なぜ「スーパー」なのか,なぜ「日本人」なのかと問うているけど,出資者が日本の将来の産業ためにやれと言っているから「日本人」なのでしょう.スーパーの理由は依然わからぬまま.

もちろん,オープンイノベーションが盛んなこのご時世にドメスティックに目を向けていてもダメだし,茂木さんが「現代における科学技術の受益者の対象は、そもそも全人類であるはずで...」と言っているのにも賛成である.

ただ,大学が競争的資金を勝ち取るために,出資者にプレゼンする時に「日本」をキーワードにする必要があったというだけだ.

 

で,COIは何をやっているの?

一口ではいえない.まず,COIでは「ビジョン」というものがある.「ビジョン」の定義は

現在潜在している将来社会のニーズから導き出されるあるべき社会の姿、暮らしのあり方(以下、「ビジョン」という。)

らしい.

でこのビジョンが3つ用意されている.

ビジョン1:少子高齢化先進国としての持続性確保

ビジョン2:豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)

ビジョン3:活気ある持続可能な社会の構築

このそれぞれのビジョンごとに,大学と企業がタッグになってテーマを持ちかけ資金を獲得しているのである.

ビジョンごとの採択テーマや大学は以下から

www.jst.go.jp

 

今回話題になった大阪大学COIはビジョン2に属していて「豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)」というテーマだ.

先ほども触れたが,日本という国の繁栄と,他国からの尊敬を集めるために研究開発を行う,という名目のもと研究が行われている.「スーパー」の意味はわからないけど,「日本人」のはここからきているのでしょう.

繰り返すが,ワエの考えは,国のお金で研究しているからといって研究成果を日本だけのものとするのはずれている,である.もし国内だけに成果を適用するならば,大学での活動は,国際論文などは投稿せず,粛々と国内の学会でのみ行いドメスティックに特化して活動していればいい.

より広い範囲に,創出した知恵を広めるのが大学の使命だと思う.

 

ところで,COIの参画企業にパナソニックが多いのは気のせいか?

 

結局COIでの活動ってどうなのさ?

拠点が多いので大阪大学COIの内容鹿見ていないが,やっていることは普通の研究である.つまり見解は茂木さんと同じ.

研究の内容はセンシングデバイス研究,ストレスモデルの形成(定量化)を基調にしているように思える.

ただ,それらの「デバイスやモデルの研究」をパッケージングして社会に組み込んだ状態 =「ビジョン」にする際に,風呂敷を広げすぎて表現がいびつになっただけである.ある意味で,これだけwebで話題になったということはキャッチフレーズとしては完璧だったのではなかろうか?

 

ところでこれだけ大きなビジョンを描いているが,予算はかなり小さいように思う.昔ちょろっと調査したのだが,欧州の研究プロジェクト:FP7(もう終了しているけど)では予算が532億ユーロである.「欧州」なので複数の国の,複数の拠点の,複数の研究テーマで,2007年から2013年までの7年間の複数年にわたる予算の枠組みだが,日本円にすると約6兆6000億円である(めんどいので2016/03/03日の為替1ユーロ=124円で概算).目ん玉が飛び出るような額である.

 

 

 

 

 

たかだか10億円ぽっちで「スーパー日本人」や「ハピネス社会」がやってくるとは思えない.是非,文部科学省JSTには予算を増額してもらいたい.

 

あと,言葉だけに踊らされて,ものの中身を見ないのはよくないね.単なる普通の大学がやっている普通のこと.